Laos Project ってなに?


◆LaosProjectのはじまり

  

 LaosProjectは、東京藝術大学の世界展開力強化事業(ASEAN)での採択を背景として、ラオス国立美術学校と東京藝術大学の共同企画として始まりました。

 ラオスの仏都ルアンパバンにはたくさんの寺院があり、オレンジ色の僧衣を来た僧侶達が町を歩く光景が印象的です。彼らは、日中は日差しがつよいため、日傘代わりに黒い傘などをさして町を歩きます。

 小説家村上春樹は、紀行文を集めた『ラオスにいったい何があるというんですか?』(文藝春秋 2015年)のなかでこのように書いています。

 

「僧侶の多くは強い日差しを避けるために傘をさしているのだが、傘は残念ながらごく普通の黒いこうもり雨傘であることが多い。僕は思うのだけれど──たとえばどこかのNPOなり海外援助部門なりが僧衣に合わせてオレンジ色の素敵な傘を、あるいは帯に合わせて黄色の傘を、彼らのために作ってあげるべきではないのだろうか」

 

  私達は、この村上春樹の文章を発想のきっかけとし、本当にルアンパバンの僧侶に傘を作って寄進することはできないだろうかと考えました。

◆僧侶に傘を寄進できるのか?

〜2017年3月のラオス訪問〜

  

 ラオス国立美術学校・ルアンパバン美術学校のみなさんとともに素敵な傘をワークショップ形式で作成し、僧侶に寄進することを目的として企画はスタート。

 2017年3月にはリサーチのためにラオスを訪れ、フィールドワークとともに、ラオス国立美術学校とルアンパバン美術学校のみなさん、ルアンパバンの僧侶達にインタビューを行ないました。

 しかし、僧侶に傘を寄進するというワークショップの目的を考え直すことになります。

 ラオスで信仰されている仏教の考え方では、動物や植物などのどんな柄であっても僧侶の頭上に掲げてはいけないと知りました。また、修行に身をおく僧侶は、持ち物や衣服を着飾ることはしないため、柄や装飾のある傘を持たないとわかりました。

◆町の風景を変える傘!

〜2018年3月ラオスでのワークショップに向けて〜

  

 私達は実際にラオスを訪れてはじめて、ラオスの仏教のあり方とラオスの人々の考え方に触れました。

 帰国後に検討を重ね、もともとのアイデアの「町の風景を変える」という部分を一番の目的として、プロジェクトを進めることに決めました。

 ラオスの人々や観光客に、ワークショップで作った傘をさして町を歩いてもらうことで、僧衣のように鮮やかで美しいオレンジ色の傘がルアンパバンの町の風景をいつもとはすこし違ったものにできないだろうか。

 LaosProjectは、ラオス国立美術学校のみなさんと協力しながら、2018年の3月にラオスで実施するワークショップに向けて動いています。