ラオス現地調査 10日間の記録(2017年3月8〜13日)

◆首都・ビエンチャンに到着

 暑さ真っ盛りのラオス・ビエンチャンに到着です。プロジェクト実現に向けての現地調査がはじまりました。

まずはプロジェクトに協力して頂くラオス国立美術学校を訪ね、先生や学生のみなさんと話し合いを重ねます。私たちが考えたプロジェクトは、ラオスの人々にどう受け止められるでしょうか。

ビエンチャンにあるラオス国立美術学校に到着すると、教室には歓迎の旗が。

先生や学生のみなさんと自己紹介。

日本チームからプロジェクトの原案を発表。ラオスチームの意見を伺います。

「ラオスの美術学校のみなさんとワークショップで素敵な傘をつくり、ラオスの僧侶に寄進したい」というのがプロジェクトの目的でした。しかし日本の仏教とラオスの仏教のありかたは大きく違いました。ラオスの僧侶は町の人々から寄進された食糧や日常品のみで、非常に質素な生活を営みます。ワークショップでつくるような、飾りや柄のついた傘は贅沢品となるため持てません。わたしたちは当初の目的を考え直すこととなりました。



授業を見学。ラオスの美術教育を知ります。

絵画、版画、彫刻、保存修復など伝統的な科目にくわえ、デザインコミュニケーション学科という新しい専攻もあります。仏教に関する作品が多く見られました。



◆ 町を見る

ビエンチャン、そして古都ルアンパバンへ。

ラオスの伝統的な町並み、寺院、そして美しい自然を案内してもらいました。

ラオスの学生のみなさんとも、言語の壁は笑顔で乗り越え、打ち解けます。

移動のバスのなかでは、お互いの国の言葉を教え合い、楽しいひととき。



ルアンパバンの美術学校でも話し合いを進めます。

来年度3月のワークショップは、ビエンチャンとルアンパバンの2都市で行います。



仏教が深く浸透している国、ラオス。

毎朝、托鉢(たくはつ)が行われます。行列をなして町を練り歩く僧侶に、町の人々が食べ物や衣類を寄進するのです。私たちも早起きをして、はじめての托鉢に挑戦です。

僧侶の朱色の衣が朝焼けをうけて、夜に沈んでいた町が一気に色鮮やかに目覚めます。



◆ 文化交流

 ラオスを代表する美術家のアトリエへ。戦争や急激な開拓といった、ラオスの悲劇的な歴史のお話も聞きました。

様々な寺院では、ワークショップのヒントとなるような図柄をたくさん見つけました。ラオスらしさを隅々まで探します。

 


僧侶のみなさんにインタビューをさせて頂きました!

 ラオスの僧侶は、女性とは目を合わせてはいけません。また僧侶の持ち物を女性が触れることも許されません。通訳の男性を通して会話を続けます。また男性メンバーに、彼らの傘や鞄などの重さや使い勝手を確かめてもらいました。

 持ち物や衣類も、寄進されたり先輩僧侶から譲ってもらったものを使い続けます。やはりワークショップでつくるような、柄や飾りのついた傘を持つのは、彼らの仏教観に合いません。

 彼らは生活品を人々からの寄進によってまかなう代わりに、宗教的な儀式の祭司の仕事や、町の土木作業に従事します。

「僧侶になれば勉学ができる」と彼らは言います。子どもたちの誰もが勉強のできる国ではありません。まだ年端のいかない子どもの僧侶もたくさんいました。親と離れるのは寂しくても、僧侶になるという道は、彼らの将来にとって重要な選択なのです。僧侶の経験を経て、学校の先生になったり、他にも様々な職業に就く人もいます。

 ラオスの仏教は人々の日常生活と深く結びついていました。また敬虔な仏教徒たちが、そのサイクルを支えています。



◆ しばしのお別れ……また秋に会いましょう!

 今回のラオス現地調査では、ラオスの人々の文化、宗教、そして生活を知りました。また伝統的な機織りや紙すきの工房を見学するなど、プロジェクトに向けた素材の調査も行いました。帰国後、ラオスの人々の考え方に添って、プロジェクトの目的を再度練り直します。

 来年度の秋にはラオスチームが日本にやってきます。彼らに日本の文化と教育現場を伝え、プロジェクト実現に向けてより具体的な意見交換を進めます。