日本への招聘プロジェクト 9日間の記録

2017年10月5日、待ちに待ったこの日が訪れる

早朝、ラオスご一行が成田空港へ到着しました。

ラオス訪問から半年以上経っていたにも関わらず、

出会った瞬間に「コンニチハ〜!!」「サバイディ〜!」と、歓喜の声が上がりました。

ラオスの皆様は日本で過ごす9日間への期待と緊張を。

日本側は、プロジェクトをスムーズに進められるか?日本の魅力を伝えられるか?

と、不安を抱きながらも、再会の喜びに感動していました。

しばらくすると双方の緊張もとけて、すっかり半年前の私たちの姿に戻りました。

手作りの歓迎幕の前で、招聘プログラム2017、幕開けです!


2日目は授業の見学や工房案内で、藝大な紹介を

午前中は、さっそく藝大の授業に参加していただきました。

先端芸術表現科 学部1年生の授業「身体」にて、日本の学生と共に「言語を使わないコミュニケーション」を行ないました。

全員で歩くペースを合わせる。

ハミングや擬音語など、声で即興音楽を奏でる。

二人組で決めた合言葉だけを手掛かりに、目をつむり、広い体育館の中でパートナーを探す・・など。

ラオスのみなさまにも積極的に授業へ参加していただき、

人間本来の原初的なコミュニケーションが垣間見えるような、有意義な時間となりました。

食堂で和食を堪能した後は、上野校地の工房をご案内。

半年前に日本のメンバーがラオスを訪問した際も、じっくりと時間をかけてラオスの美術教育について教わりました。

お互いの学校で行なわれている美術教育の現在を知ること・・・

「学内見学」は交流プロジェクトの土台を形成する重要なプログラムでもあります。


日本の伝統芸能「歌舞伎」を鑑賞した3日目

3日目は、歌舞伎座で『芸術祭十月大歌舞伎』を鑑賞しました。

なんと演目は古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」を題材とした新作歌舞伎です。

日本の伝統芸能とインドの物語、現代の演劇的な手法と今を先導する歌舞伎役者の技術、そして美しさ。

終演後に感想を聞くと、

衣装のビジュアル・動きの巧みさ・舞台上で繰り広げられる演奏・大道具の使い方など

ラオスのみなさまそれぞれの視点で舞台を楽しんでいただけたことが分かりました。


4日目・5日目はワークショップで傘作り

今回の招聘プログラムの根幹、傘作りのワークショップや打ち合わせを行いました。

みっちりと濃厚な2日間については、別頁で紹介しているのでぜひご覧ください。〔→傘のワークショップを考える2日間

ワークショップ初日の夜は、芸大の宿泊施設「不忍荘(しのばずそう)」にて歓迎パーティーを開きました。

はるばる日本へ来てもらったからには、ぜひ手作りの日本食を!

というメンバーの熱い想いに答えてくれたのは、長谷部研究室の学部生たち。

アットホームな雰囲気の中、「手巻き寿司レクチャー」や「たこ焼き実演」など、笑いの絶えない最高の時間を過ごすことができました。


6日目は邦楽科の仕舞レッスンを見学

この日は藝大邦楽科にある能の舞台で行われた、観世流の仕舞レッスンを見学しました。

歌舞伎の鑑賞とは異なり、目前で行われる実演を固唾をのんで見守るラオスのみなさま。

ラオスと日本は同じ仏教国。

滞在中はもちろん日本の寺社仏閣を訪問して、独自の仏教にも触れていただきました。

幸い藝大のある上野近辺にはお寺や文化施設が多く、美術館や博物館、お寺や神社の見学で大忙しの毎日でした。


7日目は鎌倉へプチ旅行

飛行機による長旅に加え、ここまでかなり詰め込んだ招聘プログラム。

ラオスのみなさまの疲れも溜まってきたところで、

自然あふれる鎌倉でのんびりと寺院をめぐりながらリフレッシュしていただきました。

今回の滞在中は、ラオス語を学んでいる現役の大学生にも通訳に協力してもらったのですが、

ラオスに興味を持ち、言語を一生懸命理解・習得しようとする日本人学生の姿に、ラオスの皆さまはとても喜んでいる様子でした。

また日本のメンバーも、他文化を知ろうとする姿勢の大切さに、改めて気付かされました。


「来年また会いましょう」と固く握手した8日目

みんなでテーブルを囲んで最後の打ち合わせです。

今回の滞在の振り返り、傘作りワークショップの感想や今後の進め方、来年のラオス訪問の時期など。

そして・・最後の夜といえば、やっぱり日本風の「打ち上げ」で締めくくります。

もう最終日ともなると、通訳さんをはさまずにある程度の交流ができるくらい打ち解け合っていた私たち。

よく食べ、よく笑って、しっかりと絆を深めました。


9日目の早朝に帰国

8日間の招聘プログラムを通じて、ラオスと日本のメンバーの心の距離が格段に縮んだことは言うまでもありません。

来年3月のワークショップ本番を成功させるために、みんなで力を合わせて取り組み、

魅力的な傘でラオスの美しい空をさらに綺麗に飾りたいと思いました。